出版社/著者からの内容紹介
成長経済が終わりを告げ、新時代を迎えたいま、係長・主任というポジションの重要性が高まっている。では、新時代が求める係長・主任の役割とはどのようなものなのか? それに対し、これからどのように考え、行動したらいいのか? 社内全体の実力向上をめざすための、係長・主任必読の書。社内での勉強会用テキストに最適。
抄録(「電子書店パピレス」より)
(1)新時代の会社は係長・主任で決まる
▼戦略ポジションが変化した
係長・主任は第一線の責任者である。周囲の期待も大きいが、それだけに気力・体力も充実し、実務能力が最も高まる時期である。年齢的にも二〇歳台後半〜三〇歳台であり、この時期に精一杯仕事をしておくことが、四〇歳台、五〇歳台になって管理職となったときに勘どころをつかんで花開くのである。
成果をあげてくれる中堅。一人で任せてよし。部下を預けてよし。経営トップからすれば使いごろの人材である。高度成長の時代は、それでも単なる戦力の一員だった。与えられた数字を達成する戦闘員の色合いが強かった。すなわち、係長・主任クラスといえども、企業の命運を大きく左右する存在では決してなかったともいえる。
ところが成長経済が終わりを告げ、新時代を迎えたいま、企業の方向そのものが時代の変化に対応するために戦略的に見定められなければならず、中堅層がもたらす成果の中身が変化してきた。たとえば、すでに述べた顧客との最前線での情報のフィードバックセンターも、この層の大切な役割となってきたのである。中堅層の発想を組織的に生かせずに、顧客とは離れたトップ層の安易な判断が大企業の無残な崩壊を招いている。したがって、係長・主任クラスがその企業の将来を決定する時代がきたといっても過言ではない。
自分が従来通りの「数字達成」だけの係長や主任であってはならない。新時代を担う係長・主任の資質は二つ。一つはバイタリティであり、二つ目は信頼である。
▼バイタリティのABC三条件
“ 電力の鬼”といわれた松永安左ヱ門は、バイタリティの重要性についてこう語ったそうだ(黒川志津雄『指導力』日新報道)。
「大物になるにはどうしたらいいのでしょう」
「あらゆるものの根源がバイタリティである。そのバイタリティが人を仕事に打ち込ませ、意欲的に仕事を推進させていくのだと思う」
ただ、バイタリティと一口に言ってしまえば、精神論で終わってしまいそうだが、広報マンとして活躍した黒川志津雄氏は、リーダーに必須のABC三条件を語っている。これはバイタリティのABC三条件でもある。バイタリティがなければ実現しない三条件であるからだ。
AGGRESSIVEアグレッシブ(攻撃的)
BALANCE バランス(つり合い)
COーOPERATIONコオペレーション(協調性)
(2)係長・主任は信頼のミッドフィルダー
▼信頼がなければセンター役は務まらない
企業の将来を決定する係長・主任の資質の第二は信頼である。顧客の反応や生産現場での課題などをキャッチすることは、本人の問題意識や感性がいくら鋭くても、情報が入ってこなければ限界がある。情報が自然と耳に入るようにするためには、情報を伝える側から信頼されなければならない。そして情報を選択したり、組み立て直したりして、上司に伝えなければならない。そのときに上司からの信頼がなければ、うまく伝わらない。
では、会社での信頼とは何か。バイタリティと同様、これも精神論でとらえられてしまうが、「人の心をとらえている状態」と定義すれば、少し姿が見えてくる。たとえば係長であるあなたがいくら謹厳実直であっても、「人の心をとらえている状態」とは限らない。サッカーボールも、確実にパスを受けて、的確にパスを出すためにはチーム全員から信頼されていなければならない。もちろん人間的に間違ったことをしないという日常生活での信頼だけではなく、スキルが伴う。あの人にパスを送れば確実に受けて、何とかしてくれるというミッドフィルダーの信頼である。
著者について
佐藤 寛(さとう ひろし)
(有)TAOK(トーク)人財開発代表取締役・実践実務教育研究所所長
昭和21年東京生まれ。工学院大学建築学科を卒業ののち専門図書編集者として活躍、32歳のとき東京タワー会長・前田久吉氏(元郵政大臣、故人)に請われて、財団法人鹿野山禅青少年研修所の責任者として赴任、教育研修の道に入る。同所の経営を確立後に独立系のソフトウエア企業の管理部長に転じ、事業の全国拡大に寄与。現在、コンサルタントとして、東証一部上場企業から町の商店に至るまで、企業や団体を中心に人事活性化コンサルテーション、研修や講演を実施している。
〈所属学会・協会〉日本交流分析学会、ロール・レタリング学会、日本交流分析協会、東京セルフ研究会
〈著書〉『ダイヤモンドビジネス開発プログラム』『スタートナウ90』(以上ダイヤモンド社)、『あの人の部下になりたいと言わせる本』(実務教育出版)、『あなたもプロ講師になれる』『エゴグラムの読み方と行動処方の書き方』(以上鳥影社)、『山岡鉄舟 幕末・維新の仕事人』(光文社新書)など。その他雑誌連載・ビデオ出演多数。また各社の『接客接遇マニュアル』『管理職基本マニュアル』などを受託している。