出版社/著者からの内容紹介
「デフレ・スパイラル」ってどんな状態? 景気の「底打ち」と「底入れ」の違いは? 「不良債権」はなぜ減らない?……用語を知れば“経済”なんてカンタン! 経済の「?」が「!」に変わる入門書。
抄録(「電子書店パピレス」より)
デフレ・スパイラル──なぜスパイラルなのか?
現在、日本経済はさまざまな病《やまい》におかされているが、そのもっとも深刻な症状は「デフレ・スパイラル」である。2001年3月の月例経済報告で、「デフレ」という言葉が戦後はじめて使われたが、その前後から、日本経済はデフレ・スパイラル状態に陥《おちい》ったとみる人はすくなくない。
たとえば、エコノミストの高橋乗宣《じょうせん》氏は、2001年の著書『高橋乗宣の経済を考える技術』で、「すでに日本経済はデフレ・スパイラルに突入していて、いまや問題は、このスパイラルからどう抜け出すかである」と述べている。
デフレとは、ひと言でいえば物価が下がることであり、デフレ・スパイラルはデフレが悪循環的に進行していくことだ。物価が下がれば、そのぶん暮らしやすくなると思う人がいるかもしれないが、現実はそんなに甘くはない。
デフレになると、物価が下がるだけではない。消費者は、もっと下がるのを待って買おうとするため、買い控えが同時進行する。値段が下がっても、ますますモノが売れなくなるのだ。
しかも、その間、消費者のフトコロはどんどん寂しくなっていく。モノが売れないと、企業収益は悪化し、社員の賃金を引き下げざるをえなくなる。ボーナスカット、残業代カット、そしてリストラが行われるわけだ。むろん、給料がダウンすれば、欲しいものがあっても買えなくなる。
すると、ますますモノが売れなくなるわけで、企業が売り上げを確保するためには、さらに価格を下げるしかなくなる。すると、企業収益はますます落ち込み、さらなる賃金ダウンを招く。
そして、経済は縮小方向にばかり動き、デフレはどんどん進行していく。それが、デフレ・スパイラルだ。「インフレは陽気な妖怪、デフレは陰気な妖怪」といわれ、デフレはインフレよりもよほどタチが悪い。
なお、「デフレ・スパイラル」の「スパイラル」とは「螺旋《らせん》」という意味。螺旋階段を下るように、物価と賃金がマイナス方向へ悪循環を起こしていくという意味だ。この悪循環を断ち切らないことには、今後、日本経済の再生はありえない。デフレ・スパイラルは、一国の経済を死に至らせる病なのである。
痛みを伴う構造改革──誰がどんな痛みを味わうの?
小泉内閣のキャッチフレーズは、「構造改革」である。それも、「痛みを伴う構造改革」だ。
小泉内閣を支持している人でも、この「痛みを伴う」という点について、意外に理解していないことがある。痛みを味わうのは、政治家や銀行と思っている人もいるようだが、そんなことはない。最終的に痛みを感じることになるのは、国民一人一人である。
「構造改革」については、人それぞれに思い描くイメージはちがうものの、おおむねつぎのような政策のパッケージといえる。
まず、銀行のかかえる不良債権《ふりょうさいけん》の抜本的な処理を避けては通れない。できるかぎり早期に処理し、日本の金融システムを健全化する必要がある。
それと同時に、財政再建を進める。公共事業を削減し、不要不急な出費をカットし、日本の財政赤字を減らしていくのである。
さらに、規制緩和《きせいかんわ》を進めることで、産業構造の転換を図っていく。新たな成長産業を育て、日本経済の新たな軸をつくることが必要だ。
こうした金融・財政・産業全般におよぶ構造改革は、ラクにできるものではない。第一に、銀行のかかえる不良債権処理を一挙に進めれば、銀行に切り捨てられる企業の倒産を避けることはできない。すると、その企業で働く人たちは失業することになる。
また、公共事業を削減すると、ゼネコンを中心とした建設業界が大打撃をこうむる。仕事が減って、ただでさえ悪化している経営内容がさらに悪化すれば、破綻・倒産ということも十分に考えられる。
構造改革を進めていけば、企業倒産の件数と失業率は増加し、景気はなお悪くなる。それが「痛みを伴う構造改革」の実像である。
著者について
現代ビジネス研究班(げんだいびじねすけんきゅうはん)
ビジネスの最先端事情の収集からサラリーマンの生態の分析まで、あらゆる業界・分野の現状と未来を考察する頭脳集団。メンバーは一般の企業人をはじめマスコミ界、研究所スタッフ、企業家など多彩である。著書に『仕事の裏ワザ・隠しワザ』『経済ニュースが2時間でわかる本』『社会人なんだからこれだけは知らねば!』(小社刊)がある。