出版社/著者からの内容紹介
「規制緩和」の進展は、法的な「自己責任」の増大を意味します。ビジネスのあらゆる場面で「法」の軽視が厳しく摘発されています。最も身近な「契約」に関する法律知識をマスターすることから始めましょう。
抄録(「電子書店パピレス」より)
契約の意義と民法
このパートでは、契約の意義について、日常生活における役割、単なる約束との違い、契約の歴史などにふれながら学びます。あわせて契約を規定する代表的な法律である民法とはどのような法律であるかを学びます。
日常生活と「契約」
私たちの日常生活は、意識する、しないにかかわらず「契約」で成り立っています。物を買うのは「売買契約」、会社で働くのは「雇用契約」、マンションを借りるのは「賃貸借契約」、お金を借りるのは「金銭消費貸借」に基づいています。「契約」は非常に身近な存在なのです。
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「契約」と「約束」の大きな違い
私たちは日常、「契約」と「約束」という言葉を厳密には区別して使っておりません。でも「契約」は、単なる約束とは異なります。
「約束」を破ると、友人や同僚の信頼を裏切ることになりますが、契約違反の場合は、それにとどまりません。
「契約」には法的知識
「契約」に違反した場合は、最後は裁判に訴えられ、損害賠償を請求されたり、強制執行といって、あなたの財産を差し押さえられたりします。一旦契約が成立すると、非常に強い法律的な効果が発生するのです。契約には「法的拘束力」というものがあるのです。ですから契約の締結には慎重さが要求されますし、法的知識も必要なのです。
「契約」以前
皆さんは、日々の生活に必要なものは、「売買契約」で手に入れるでしょうし、職業選択の自由の下で「雇用契約」に基づいて今の仕事についている方が多いでしょう。現代では、このことは当たり前なのですが、近代以前の社会では違っていて普通だったのです。
身分から契約へ
封建時代には個人の社会生活の多くは、身分によって決まっていたのです。どこに住み、どのような職業につき、何を食するかまで身分によって決められていたのです。それが文化の発達によって、次第に本人の意思による契約で定まる部分が増してきたことに、社会の進歩が見られます。これを、ひと言で「身分から契約へ」と表現しています。
重要性を増す「契約」
現代は、「契約」なしでは一歩も進まないほど、その重要度は増大しております。グローバル化が進展するということは、見方をかえれば「契約社会」と言われる欧米諸国とルールの標準化を図っていくことを意味しますので、ますます「契約」の重要性は増していくものと考えられます。
「契約」と「法律」
現代では、「契約」に関してさまざまな法律が制定されています。その中でも、最も代表的で基本となる法律が「民法」です。これからの解説も民法の契約に関する部分を理解することを念頭において進めてゆきます。
民法とは
民法は、大きく次の2つのことについて規定した法律です。1つは、私たちが契約など財産的な取引をするにあたっての一般的な規定を定めた部分(「財産法」領域といいます)。もう1つは、夫婦・親子の関係や相続に関して規定した部分です(「家族法」領域といいます)。
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民法の3大原則とは
民法には、次に示す3大原則といわれる基本となる考え方があります。 私的自治の原則所有権絶対の原則過失責任の原則以下、それぞれについて解説します。
私的自治の原則とは
「契約自由の原則」といわれるものとほぼ同じ意味です。人は、そもそもすべて自由で平等なのだから、自分の意思に基づいてどのような相手と、どのような契約を、どのような方法で結ぶか自由であり、国はむやみに干渉してはならないという原則です。
所有権絶対の原則とは
今、私たちが属している社会は資本主義経済社会といいます(反対は社会主義経済社会といいます)。そこでは自分のものは自分の意思で、自由に使用したり処分できることが前提になっております。このことを、「所有権絶対の原則」といいます。
過失責任の原則とは
たとえ自分の行為が原因で他人に損害を及ぼすことがあっても、その結果発生について自分の故意(「わざと」)、過失(「うっかり」とか「不注意で」)によらないときは、責任を負わなくてもよいという原則です。この原則があると、萎縮しないで自由な経済活動ができます。
3大原則のその後の修正
そもそも3大原則は、日本でいえば、民法という法律ができた明治時代のものです。その後、時代の変化とともに社会の価値観も変わり、修正されています。ですから原則といっても、必ずしも絶対的なものではないことに注意してください。
*この続きは製品版でお楽しみください。
著者について
小西 義博(こにし よしひろ)
東北大学法学部卒業。NKK(日本鋼管)で人事・労務の業務に従事。現在、NKマネジメントセンター事業開発部長兼法務研修主任講師。