出版社/著者からの内容紹介
緒方貞子氏の名前は知っているが国連のことはわからない、国連なんか関係ない、ではすまされない。いまや国連を知らなければ、新聞も読めないぞ! 本書は国連に関するあらゆる疑問にQ&A方式でわかりやすく回答。職員の給料から紛争解決の舞台裏まで、国連のナゾというナゾに徹底的に迫る。
抄録(「電子書店パピレス」より)
第一章 国連という組織のナゾ
Q1 国連はどうしてニューヨークにあるのですか?
当初、ニューヨークは国連本部の設置場所としては検討もされていませんでした。それは欧米のいくつかの都市が熱心に誘致活動をおこなっていたからです。究極のアイデアとしては、常時航海をおこなう船のうえに国連を設置し、世界の海を恒久的に周航するという驚くべきものも提案されていました。
ところが準備委員会ではしだいに、ソ連、中国、オーストラリア、チェコ、ラテンアメリカを含むほとんどの国がアメリカを望みはじめたのです。これは国際連盟にアメリカが最後まで加盟しなかったことが第二次世界大戦をおこしたと考えていた各国の指導者たちが、アメリカを国連に巻きこむ重要性を痛感していたためです。
やがて一九四五年十一月末になると、国連本部をアメリカに招致したいという申し出がサンフランシスコをはじめとする各地から殺到します。それでも、イギリス、フランスは本部をヨーロッパに置くことを主張し、かけひきがおこなわれましたが、いずれも決定打とはなりえませんでした。一致を見なかった理由としては欧州各国がアメリカのなかでもできるだけ自国に近い土地を望んだからです。たとえば、ソ連はアメリカ西海岸に本部を置くとする案に反対し、イギリスはサンフランシスコでなく、やはり自国に近い場所を要求したのです。結局いくつかの候補地にしぼられはしましたが結論は見いだせませんでした。
ところが、この時点でJ・D・ロックフェラー二世がつぎのような申し入れをおこないました。ニューヨークのイーストリバーに面した42番街から48番街におよぶエリアを国連用に買収するため八五〇万ドル(およそ三〇億六〇〇〇万円、一ドル=三六〇円換算)を寄付する用意があるというのです。ただし条件は三つあり、その一つはアメリカ政府はその寄付に対して、ロックフェラー家に課税しないこと、二番目にニューヨーク市が責任を持ってそのエリアの整備をすること、三番目にこの申し出を三〇日以内に受諾することでした。
その結果、本部設置委員会は、これを受諾し、総会もこれを認め、ロックフェラー氏の申し出が受理されたのです。ちなみにニューヨークの中心であるマンハッタン島の東イーストリバーに面したミッドタウン1番街にそびえる国連のビルを設計したのは、ロックフェラーセンターの設計者であり、アメリカの著名な建築家であるワーレス・ハリソンらの世界的な建築家集団でした。アメリカ政府は建物の建設に必要な経費六八〇〇万ドル(およそ二四四億八〇〇〇万円、一ドル=三六〇円換算)を融資し、一九五二年十月、本部ビルは完成しています。なお土地は、国連事務総長とアメリカ政府代表とのあいだでとり決められた協定によって、アメリカ領域内にありながらも独自の国際法上の特権を認められています。
ちなみに、この国連本部は事務局ビル、理事会議場、会議室および食堂施設からなる会議ビル、さらに総会ビル、図書館、地下三階建ての印刷工場、カフェテリアなど、いくつかの建物から構成されており、それぞれのビルは相互に接続されています。また、地下三階建ての駐車場は一〇〇〇台以上の車が収容できます。
Q2 国連は何をするためにつくられたのですか?
原則的には、国連は独立した国々が集まって、個別の国の問題や地球規模の課題を話しあう討議の場です。その目的は五つあります。
(1)全世界の平和を守ること
(2)各国の間に友好関係をつくりあげること
(3)貧しい人々の生活条件を向上させ飢えと病気と読み書きのできない状態を克服すること
(4)お互いの権利と自由の尊重を働きかけるように、共同で努力すること
(5)これらの目的を加盟各国が達成するのを助けるための話しあいの場となること
国連は国連にしかできないことをおこなうため、一九四五年十月二十四日に正式に発足しました。そのときの加盟国は五一カ国で、現在では一九〇カ国に増えています。
Q3 国連にしかできないこととは何ですか?
「国連にしかできないこと」をわかりやすく「国連独自の活動」といいかえれば、つぎの七つがあげられます。
(1)国際緊張を緩和させ、紛争の防止をはかり、また発生した戦闘を停止させる行為の中心的役割をはたす
(2)環境、宇宙、そして海洋の問題を世界的規模であつかう
(3)多くの病気を撲滅する
(4)食糧を増産する
(5)自然災害に対する救助隊を派遣する
(6)戦争や災害から生まれる難民のケアと保護をおこなう
(7)世界中の人々が読み書きができるように教育の問題や個人の権利を擁護し推進する
*この続きは製品版でお楽しみください。
著者について
中見 利男(なかみ としお)
1959年生まれ。岡山県倉敷市出身。作家、ジャーナリスト。国連などの国際機関や国内及び海外の豊富な人脈を生かし取材に奔走中。執筆対象は歴史から国際情勢まで幅広い。また2001年12月末までの国連経済社会理事会の諮問機関であるグローバル・フォーラム(本部N.Y.)の顧問を務めるなどNGO活動を支援している。