出版社/著者からの内容紹介
「いい商品をより安く買いたい」とは思いつつも、高いモノはあいもかわらず高いまま。また、その一方であちこちで目にする「激安」価格も、いざそれを前にすると、「そんなに安くて大丈夫なの?」と不安に思ってしまうのが、当然の消費者心理。
この本の狙いは、そんなこんなの値段に関する疑問・不満・不安に一挙に答えること。値段にまつわる「ウラ」事情、強いては世の中の裏事情がしぜんと見えてくる一冊です。
抄録(「電子書店パピレス」より)
JRの定期券――〈分けて買う〉と安くなる妙な話
JRの定期券は〈分けて買う〉方が安くなることがある。
というと、たとえば、中央線の高尾駅から東京駅まで通っている人が、高尾から二駅の八王子までの定期と、東京から二駅の御茶ノ水―東京間の定期に分ければ、たしかに安いと考える人もいるはずである。しかし、この分け方は、明らかに不正、キセル乗車だ。見つかれば、不正した期間について、料金の三倍の罰金を課される。じっさい、銚子から東京まで、この方法で通勤していたサラリーマンが、一千万円以上の罰金を払わされたことがある。
ここで紹介するのは、JRの改札を堂々と通過できる方法である。先の高尾―東京間なら、高尾―新宿の定期と、新宿―東京の定期に分けて買う。すると、六ヶ月の通勤定期で、通常の高尾―東京の定期を買うより、二万円以上も安くなるのである。
ただし、こんなお得な方法が使えるのも、東京と大阪など大都市近郊にかぎった話。〈分けて買う〉方が安くなるのは、もともと、路線による運賃の設定が、特殊なためである。
ふつう、JRの運賃は距離に応じて高くなっていくが、大都市のJR料金には、少し割引になる幹線運賃、私鉄と競合する路線について割引する特定区間運賃、さらに、東京の山の手線、大阪の環状線の内側に適用される割引運賃などがあって、おおむね三系等で運用されている。
ところが、異なる料金体系の区間を乗り継いだ場合、規定では、高い方の料金体系で計算する。そのため、全線で買うと割高になってしまうのに対して、料金体系の境目となる駅で区切って、定期券を二枚買うと、逆に安くなってしまう現象が起きるのである。
高尾―東京間なら、高尾から山の手線の新宿までと、新宿から山の手線内を走る東京までを分けて買う方が、だんぜん安くなるというわけである。
ある大手電機メーカーは、この方法で年間一〇〇〇万円以上の交通費を節約しているそうだが、東京や大阪の近郊から遠距離通勤、通学している人は、いろんな組み合わせを考えて定期券料金を比較してみた方がいいかもしれない。
著者について
松岡 豊(まつおか ゆたか)
経済ジャーナリスト。
1962年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。新聞社勤務を経て、独立。生活に密着した経済をテーマに、執筆活動を続けている。