小説 起業講座

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価格:¥ 1,260
日経BP社


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■ 内容紹介

出版社/著者からの内容紹介
 「日経ベンチャー」ホームページ上で連載された、日本初の本格的インターネット小説、待望の単行本化! 読者参加によるストーリー創りに大反響!(小説中の経営・経済に関するキーワードには解説も付いています。)

 父が死んだ。
 兄は工場を継ぎ、弟は会社を興した──。


抄録(「電子書店パピレス」より)
 ぐい飲みの酒を一口飲んでから、徹がいった。
 「そんなにやばいのか?」
 彬が唇を結んでうなずいた。後藤工業所が彬に掌握し切れない状態になっていることを、徹は昨夜の電話で聞いている。
 「横田なんか、辞めさせちゃえばいいじゃない。ウチがほとんどの株を持っているんだろう」
 徹が忌々しそうにいった。
 「おれも横田さんを辞めさせてうまくいくなら辞めさせるさ。しかし、そうかんたんじゃない」
 「案ずるより産むが易い、とおれは思うけどね」
 「産んでみて、母子ともにお亡くなりになりました、ってのもまずいだろう。いま横田さんを辞めさせれば、従業員の半分はこっちのやり方に反発するさ。辞表を叩きつけないまでも、やる気をなくされたり、サボタージュされたら、後藤工業所を経営していくことはできない」
 「つまり横田はそれだけ従業員を掌握しているということになるわけだ。だったらあいつを親父の次の社長にしたらよかったのか?」
 彬はちょっと視線を泰子に向け、それからまた徹に戻した。その一瞬の表情に、徹は今まで見たことのない大人びた兄貴を見たような気がした。
 「そうじゃないんだな。こんなこといっちゃ申し訳ないけど、親父が悪かったんだよ。親父は自分の次におれを継がせようと思っていたんなら、予めそういう社内の体制を作っておかなきゃいけなかった。横田さんをあんなにわがままのできるナンバー2にしておきながら、急におれんところに持ってくれば、ぎくしゃくするさ」
 「もっと長生きするつもりだったのよ」
 泰子の声が少し震えた。徹は泰子の肩を軽く叩き、彬も黙ってぐい飲みを口に運んだ。
 「それで明後日はどうするんだ?」
 「普通にやるさ。事務所にみんな集まってもらっていつもの社員集会だ。そこで業績のことを詳しく説明して、リストラ計画を発表する」
 「やばいってのは?」
 「誰かがリストラ計画に反対意見をいう、そしてみんなが口々に同調する、そういう場面がありそうなんだ」
 「おれが辞めるって、みんな知ってるの?」
 「ああ、もうみんな知ってるさ。それで、少しはみんなの不満を和らげているところがある」
 「後藤工業所が潰れてもいいのか、と脅したらどうだ?」
 「それならこっちの胆を決めておかなければならない」
 「こっちの胆?」
 「潰れてもいいか、という最後通蝶を突き付けて、売り言葉に買い言葉で、ああいいですよ、となったとき、うちとしてはそれでいいのか、ということだ」
  徹はすぐに口を開きかけて、その口を閉ざした。
 「そんなのダメよ」その代わりに母親の泰子がいった。「お父さんは、お前たち二人で、会社をきちんと立て直してもらいたいと思っていたのよ。それを徹はヒョータンからコマみたいに辞めることにしてしまうし、彬までそんなことをいい出して」
 「まだ、そうするといってないでしょう。一つの可能性を描いてみただけだよ」
 「分かった、さっきの言葉を取り消すよ」徹がいった。「おれが会社を辞めることは、会社を生き延びさせるためにやったんだから、いいんだ。しかし兄貴は短気を起こしてはいけない」
 「調子いいじゃないか」
 「悪いけれどそれが長男と次男の違いだ」
 徹は愉快そうな笑みを浮かべた。


著者について
 江波戸 哲夫(えばと てつお)
 1946年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業。
 都市銀行、出版社を経て、1983年、作家活動を本格的に始める。
 「小説大蔵省」「集団左遷」「新入社員」「マンション戦争」「しなやかな辣腕」などの小説のほかに、エッセイとして「辞めてよかった!」、ルポルタージュとして「西山町物語」など著書多数。

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「小説 起業講座」紹介ページの最終更新日時
2005年10月24日 17:51:50
ID:585
※実際の販売・ダウンロードは『電子書籍パピレス』にて行われます。