出版社/著者からの内容紹介
「もしも現代社会の奇妙な流れを止められる、あるいは正しく変えられるものがあるとするなら、それは決して『頭脳』でも『モノ』でも『文明』でもない。おそらくそれは我々が『こころ』と呼ぶものだろう」と語るさだまさしが、迫り来る21世紀を前に現在の自分をすべて語った待望の完全書き下ろしエッセイ。笑い、涙しながら読んでいくうちに、元気と勇気が出てくる絶妙な筆さばきはファンならずとも必読です。
抄録(「電子書店パピレス」より)
女性のヌードが猥褻だとは‘毛ほども’思わぬ。男性から見て、それは美しいものに決まっている。だが劣情をシゲキするだけが目的の、“(作品として)美しくない”ヌードもある。そういうときに腹が立つ。いやらしいだけのヌードの「H」に反応する自分のどこかや、そういう反応を見透かした気になってほくそ笑んでいるだろう作者の両方にだ。ま、とにかくあの当時は「ヘアヌード」なるものが、これほど無遠慮にそこいらの本に載っているような時代がくるとは、考えもしなかったよ。いや、恐れ入った。 俺らの高校生時代はまだ「チャタレー裁判」なんて頃だったし。『チャタレー夫人の恋人』という本が猥褻かどうかで、訳者の伊藤整さんの裁判が話題になった頃だもの。
それと比べりゃ、今日びの雑誌なんかほとんど「猥褻文書」だ。
そうそう、俺達の少年時代に漫画家、永井豪さんのヒット作『ハレンチ学園』ってのが大人気を呼んで、当時のPTAが「こんなもの子供に読ませたら子供が歪《ゆが》んでしまう」と大騒ぎになったことがあったなあ。
内容的には可愛らしいもので「いや〜ん」とか言って、せいぜいスカートをめくられたり、下着姿にさせられたりして、まあ、いやらしい姿態を演じたりはするんだけれども。でも漫画であろうとも細かくチェックしていたあの当時のPTAってのは、ある意味で偉いもんだなあ。今なんか、母親がハレンチ学園だもんな。だから子供は下着みたいな格好で町中を歩き回るし。日本中‘色気違い’になっちゃったなあ。もちろんそれは永井豪さんのせいなんかじゃないよ。時代だよ。
国中が助平になった国はかならず亡《ほろ》びるのだそうだから、わが国はもうすぐ亡びるってさ。誰かがそう言ってたし。
「ソドムとゴモラ」の話もあるじゃない。
もっとも「ソドムとゴモラ」ったって、なんにも知らない奴は「モスラとゴジラ」とどう違うんだなんてオソロシーことを言うんだろうなあ。
ところで、これは男性諸君に聞きたいんだけど、あの、最近の週刊誌に平然と載ってるヘアヌードっての、あれ見て本当に嬉しい?
なかなか綺麗なヌードって多くないよ。
俺は「美しいヌード」って、宮沢りえさんの『サンタフェ』以来見てないけどなあ。なんだか日本女性がみんな変になっちゃった感じでさ、俺、結構寂しいなあ。
話が逸《そ》れたので戻すが、最近、きちんとしたエロ本が生きていけなくなったのは確か。‘きちんとしたエロ本’ってのも変な言い方だけれど、そこいらのコンビニで誰でも手に取ることができるヘアヌードってのは、さて、いかがなものか。
著者について
さだまさし
本名は佐田雅志。一九五二年、長崎県長崎市生まれ。バイオリン修業のため中学一年で上京。しかし、高校受験失敗を機にバイオリンの道をあきらめる。その後、國学院大学に進むが、一九七二年、中退し吉田政美とグレープを結成。翌年『雪の朝』でデビュー。二枚目のシングル『精霊流し』が大ヒット、同曲で第16回日本レコード大賞作詞賞を受賞。一九七六年、ソロデビュー後も『雨やどり』『秋桜』『関白宣言』『防人の詩』など情緒あふれる詞曲が幅広い層に支持される。活動の中心は年間一〇〇回以上のコンサートで、その数は一九九八年現在、二六〇〇回を数える。一九九五年日本レコード大賞で、『美空ひばりメモリアル選奨』受賞。これまでにシングル六二タイトル、アルバム六九タイトルをリリースしている。主な著書に『噺歌集I〜V』(文芸春秋)、『せとぎわの魔術師』(講談社)、『日本が聞こえる』(毎日新聞社)、『絶対温度』(サンマーク出版)などがある。
まえがき
まえがきのあとがき
1 思い出の輪郭
『クリスマス・ローズ』
中学生日記
『都府楼』
二十一世紀
おまけ●よいこの教室(一)話す
2 気まぐれな風
『こころとからだ』
夢四夜
こころはどこにある
『秘密』
煩悩とエロ本
おまけ●よいこの教室(二)聞く
3 水辺に咲く花
『君が選んだひと』
恋の賞味期限
『驟雨』
言葉とこころ
音楽の神さま
おまけ●よいこの教室(三)読む
4 不器用なひと
『不器用な花』
戦友
『航跡』
戦友の二代目
おまけ●よいこの教室(四)感じる
5 心の時代
『神の恵み』
アメリカの理由または正義とはなにか
『心の時代』
二年十組安本学級
おまけ●よいこの教室(五)笑う
結 風のような物語
『白夜の黄昏の光』
帰りたい河
あとがき