出版社/著者からの内容紹介
ビジネスの場にふさわしいファッション、上手な電話対応、接待や弔事などの接遇マナー等、職場で恥をかかないための礼儀・作法を詳しく解説。Q&Aや、身だしなみチェックシートなども織り交ぜた、職場でのコミュニケーション向上に、すぐ役立つ内容がギッシリです。
抄録(「電子書店パピレス」より)
1 「以心伝心」への甘え
よほど特殊な場合を除いて、私たちは、現実の世界でたった一人で生活したり仕事をしているということはあり得ません。
たとえ単身生活の人であっても、必ず多くの人と絡み合って生きているはずです。
そして、人と人とが出会って、多少でも共有しなくてはいけない用事ができたときは、私たちはその相手に対して、何らかのサインを出します。これが意思表示です。
ましてや相手が初対面の人だったりしたら、自分からはなんのサインも出さずに、「言わなくてもわかってくれるだろう」と考える人は、まず、いないでしょう。
一生懸命コミュニケーションを図ろうと、いろいろと努力するはずです。
ところが、この努力も、ほとんどが一過性のものになっているのが現実です。
その要因の第一は、馴れ合いの関係です。相手との距離が近づくにつれて、そのサインを軽んじる傾向がみえてくるのです。
第二に、「いろいろとサインを出して、相手に『うるさい人だ』と思われたくない」と、努力を放棄してしまうこともあります。
第三に、日本には「以心伝心」を肯定的に考える土壌があった、ということです。
これらのことは、ここ二〇、三〇年で確立されてしまったきらいがあり、諸外国と比べてみて、失ってしまったものの大きさを考えずにはいられません。
ビジネスの場は、他人ばかりの集まりです。ごく短い時間に相手に受け入れられて、しかも自分の提供するものを選択してもらうには、それ相応のスキルが必要です。
それが、ビジネスにおける礼儀や作法と呼ばれるものなのです。
「以心伝心で、あとはよろしく」という甘えや逃避は排除して、よい対人関係を築いていきましょう。
2 サインその1 あいさつや返事、相づちはタイムリーに
さて、きょう一日を振り返ってみて、あなたは果たして何人の人と出会い、そしてその中の何人と楽しく意味のあるあいさつを交わしたでしょう?
社員研修の現場での声です。
管理職……最近の若い人たちは、上の人から先にあいさつされても平気だし、役員の顔もろくに覚えていないものだから、あいさつできない。それに、名前を呼んでも返事しないから、聞こえたのか聞こえなかったのか。いったい、家庭ではどういう躾《しつけ》をしているんでしょう。そのうえ、退社するときも黙って帰ってしまうから、その社員宛てに電話が入ったときに、困ってしまうんです。
中堅社員……うちの上司は、朝、「お早うございます」ってあいさつしても、返事してくれないのです。新聞読んでいるふりして。
新入社員……先輩で、一人、あいさつしても無視する人がいるんです。私のこと、嫌いなのかもしれない。朝から暗くなります。そして、会社を辞めたくなります。
お客様……この会社の社員は、受付らしいところに立っても、「いらっしゃいませ」のあいさつすらしてくれない。ましてや、廊下ですれちがっても、ジロッと横目で上から下まで見るだけだ。会釈だけでも、立派な歓迎のあいさつだということを知らないのかな。まあ、お茶を出してくれるのはありがたいけれど、黙って応接室に入ってきて、黙って置いて出ていく。よほど面倒臭いのかな。お茶もおいしく飲めないよ。
それに比べると、あの会社の社員はてきぱきとしかも丁寧にあいさつしてくれて、いつ行っても感じがよい。さすが、と思いますね。
確かこの両方は関連会社のはずだけれど、どこからこんな違いが出てきたんだろう。
著者について
堀 千恵子(ほり ちえこ)
昭和21年生まれ。東京女子大学文理学部心理学科卒業後、日本航空国際線スチュワーデスとして勤務。昭和51年よりメキシコに滞在。昭和57年(株)ザ・アール入社、その後、(株)ユーズウェア21設立参加ののち、平成元年、研修グループ・「あゆだんて」設立・主宰。現在に至る。
〈専門分野〉接客や接遇、社内外のコミュニケーションの取り方各応対の企画・教育・マニュアル作成新規企業や店舗立上げにも多く参加。