出版社/著者からの内容紹介
アントニオ猪木が、その思いのすべてを語った!
生と死・愛とセックス・日本と世界・ビジネスとエンターテインメント、そして、若者と教育問題まで、電波少年のT部長:土屋俊男・TV界の奇才:テリー伊藤・恋そして愛の人:杉本彩・PRIDEの仕掛け人:森下直人らとの「対談」と自らの「独白」を交えながら激白。
これからの「日本(の人々/若者)」に問う。「お前の人生、それでいいのか!?」
抄録(「電子書店パピレス」より)
【土屋】 海外で差別された記憶というのは、あまりないんですが、20年くらい前に韓国に行った時に、「日本人か!」と、日本人に対する敵愾心《てきがいしん》むきだしに、公園で言われたことはあります。どっちかというと東南アジアでのロケが多いんですが、東南アジアだと逆に「金持ちニッポン」、「こいつ金持ってるんだろうな」という目線でしか見られないのが寂しいなというのは、ずいぶんありました。だから、同じ目線の高さの旅をさせたいというのにこだわるんだろうと思います。
【猪木】 アメリカは差別がありますよね。あるから「差別はいけない」と言うわけで、なければ「差別」なんて言わないんだろうから。ただ、それがいま時代が変わってきて、表面に出さないというか、60年代に黒人差別というのは無茶苦茶あって、ジムなんか行っても黒人は入れてもらえなかった。東洋人はちょっと違っていましたけれども、それでもやっぱり「ジャップ」ですよね。時代が変わりましたから顔には出さないけれども奥にはあるし、差別というのは存在するものだ、だから交流するんだ、と。「差別はいけない」と言ったって、現実に戦後の中で韓国の人や中国の人に対する差別はあったろうしね。
いま、うちの子どもが学校へ行っていますけれども、アメリカでは、どうしても強くならなければ生きていけないというか、自己主張をちゃんとしないといけない。女の子は特にね。日本にいると男尊女卑というものが、いまだにあるわけでしょう、解放されたと言っても。そういう中で、女性は向こうへ行くと全部変わっちゃうわけです。エレベーターでは「先へどうぞ」と言われるし。それから、日本人の好みとアメリカ人の好みは違うじゃないですか、美人の意味が。その点では日本の女の子は、平均的な女の子はみんなモテるんだよね(笑)。俺らが見る「美人」というのは、どっちかというと欧米型のほうが美人系に見えるじゃないですか。外国人が見る「美人」は違って、日本的な顔のほうがモテるわけでしょう。そういう意味では、すごく彼女たちは解放されていく。パワーというか、自己主張というのをしっかり持つようになって、元気になる。男は逆に、金髪娘から声をかけられるケースはないから、英語がよっぽど達者か、よっぽどあの世界に入っていこうとしない限りは、どんどん萎縮していく。俺の場合はレスリングをやっていましたから声をかけられることもありますけれども、それ以外でもしもアメリカへ行ったら、外国人なんか誰も声をかけてくれない。
その中で「差別というのは存在するよ、存在するけれども、それが人間だよ」というふうに理解すれば、どうということはない。その中で本当に交流が高まっていけば、そんなものはどこかに消えてなくなってしまうんですね。
【土屋】 いま猪木さんがおっしゃったように、自己主張をしなければ生きていけないというのは、海外においてはすごく大きいですね。日本って自己主張をしなくても生きていけるところがあるし、「和をもって尊しとなす」みたいなところがあるじゃないですか。海外に行くと、国が違う、民族の違う人が隣にいることが当たり前だから、お互いに主張しないとわかり合えない。だから、「お前、差別してるじゃないか」と言わなければいけない。そういうことをちゃんと主張しないといけないということが、コミュニケーションの原則にあるような気がするんです。日本の中では、「阿吽《あうん》の呼吸で」とか、曖昧《あいまい》な部分がものすごくあるけれども、そこのところをきちんとしなければいけないということは、世界に出た瞬間に思いますね。クレームって、日本人はなかなかつけないけれども、「それはおかしいじゃないか」と言わなければ通らないというところはありますね。
たしかに海外で仕事をする上では、みんな自己主張が強い分だけ、ものすごく達成への能率は悪いですね、ひとつひとつ進んでいくことが。自分の主張が通らなくても、日本人はそこで我慢するじゃないですか。先々何とか……ということで我慢するけれども、例えば韓国のスタッフだと通るまでボイコットだけじゃなく、邪魔するんですね。それこそ真ん中に「大」の字になって、「自分の主張が通るまで撮影を進めさせない」みたいな感じになる。仕事が止まっちゃって止まっちゃって、しょうがないんです(笑)。
日本の高度成長みたいなことで言うと、みんな我慢してとにかくやってきたから、そういう意味では効率がすごくいいんだろうと思います。チームプレーは日本人のほうがうまいだろうな、という気はしますね。そういうところはいいところだなと思うけれども……。
【猪木】 俺の場合アメリカにいても、街の中で触れ合うというような時間がほとんどないんです。俺が付き合っている人たちというのはビジネス上の付き合いとかに限られちゃってるからね。どちらかというと、レスリング界で言えば尊敬される立場になっているので。ありがたいことに。みんな日本人以上に礼儀正しい人たちの集まりなので、ちゃんとドアを開けてくれたり、挨拶をするとか、武道的精神みたいなものがある。逆に日本人のほうが、そういうのがなくなってきているね。彼らにとって武道精神は憧れなんですね。
【土屋】 たしかに礼の部分みたいなものは、逆に海外のほうが……。
【猪木】 一般的にはわからないですよ。ただ、俺らの世界のレスラーだとか、道場へ行ったりした時にはね。
著者について
アントニオ猪木(いのき)
1943年、神奈川県出身。14歳の時家族でブラジルに移住。1960年、力道山にスカウトされ帰国。ジャイアント馬場と日本プロレス黄金時代を築き、その後「世界の猪木」の名声を博する。1989年スポーツ平和党を結成。参議院に初当選。現役プロレスラーとしても活躍しながら議員活動に励む。1998年、プロレスラーを引退。現在も世界の諸問題に、民間外交のエキスパートとして活躍中。
序
日本と世界
アントニオ猪木×土屋敏男
現代の若者と教育問題
アントニオ猪木×テリー伊藤
恋愛、セックス、結婚
アントニオ猪木×杉本彩
ビジネスそしてエンターテインメント
アントニオ猪木×森下直人
生と死
アントニオ猪木